🟡1999年 公益社団法人 日本獣医師会は
インフォームド・コンセント徹底宣言を
発表しています。
🔵獣医師が飼い主に説明すべき事項
・受診動物の病状および病態
・検査や治療の方針、選択肢
・予後、診療料金
・薬の副作用
などがあげられます。
※薬の副作用については、聞いていなかった
となると、飼い主が理解していなければ、
説明義務を果たしたとはいえません。
※治療費が高額になることを知っていたら
他の病院のセカンドオピニオンを受けたかもしれない
となると、獣医師の説明義務違反があったということも
できます。
🟡飼い主が犬猫にどのような診察を
受けさせるのかを判断する場合…
・犬猫の健康に与える影響
・薬の副作用
・費用
などの理解ができていなければ、
選択や判断をすることができません。
※飼い主がペットにいかなる治療を
選択するのかにつき、必要な情報を
提供するべき義務があります。
🔵動物病院にて診察を依頼し、
獣医師に薬を処方された行為は、
準委任契約にあたります。
🟡この契約では、
獣医師は、飼い主に対して
善管注意義務と
委任事務処理の報告義務(民法第645条)
を負います。
※委任事務処理の報告義務とは…
人間が医療行為を受ける時の
インフォームド・コンセントに
あたります。
犬猫の手術ミスがあった場合
手術ミス⇒事業者の債務不履行に
あたります。
🟡消費者契約法第8条…
事業者の債務不履行により
消費者に生じた損害を賠償する
事業者の責任の全部を免除する条項が
契約書にあった場合、それは無効となります。
手術によって生じたいかなる事態においても
病院は一切責任を負わないことに同意します。
…という書面にサインしてしまったとしても、
人間の医療裁判によると、このような契約書は、
無効とされています。
🟡内容の確認をしましょう❀
・患者名および説明を受けた日にち
・通常の書類で必要な項目
・麻酔の方法、内容
・手術の危険性
・合併症の有無
・飼い主の質問や要望、費用
など…明記されているか事前に確認を
しましょう✿(=^・・^=)
🟡獣医師が用いる手術承諾書は、
人間の医療で使用される承諾書が
参考となっています。
🔵承諾書は、手術の性質や内容を
よく説明し、飼い主も納得したうえで
手術を行うためにあります。
🟡準委任契約とは…
法律行為でない事務の処理を委任する
契約です。
例えば、犬猫の手術を依頼する
場合、獣医師と飼い主の間に
治療に関する診察契約が結ばれる
こととなり、この契約が、民法上の
準委任契約に該当します。
動物病院で、犬猫の不妊去勢手術を
受ける場合… 手術前に飼い主は、
承諾書にサインをすることが多いと
思います。
獣医師に犬猫の手術を
依頼することは、民法第656条
準委任契約に該当します❀
獣医師は、善良な管理者の注意をもって
治療行為を行う義務を負います。
民法第644条✿
🟡この義務を果たしたかどうかは…
犬猫の健康状態をチェックして、
仮に犬猫の健康状態によって、
手術する・しないの選択肢があるような場合
飼い主へきちんと説明をし、一般的な獣医師で
あれば、普通にすべき注意をして手術をしたか
どうか等により、判断されます。
🔵もしも…善良な管理者としての義務を
果たしていなかったのであれば、
たとえ承諾書に一切責任を負わない。
とあっても、それは無効と考えられています。
🔵トリミングサロンとの間に、支払い時期に
ついての約束があれば、それに従います。
🟡支払い時期がない場合、
仕事の目的物の引渡しと同時に、
支払わなければならない。となります。
(民法第633条)
🟡トリミングサロンの仕上がりが
気に入らない、犬猫に傷がついた等の場合には、
債務の履行がなされていないとして、
支払いを拒絶することもできます。
❍トリミングサロンで、毛を切りすぎて、
可愛くなくなったので、代金を支払いたくない。
ということが起った場合…
⬇
🟡飼い主がペット雑誌の写真をしめして、
具体的な指示をしていたにも関わらず、
全く違った状態になってしまったのであれば、
瑕疵修補請求として、手直しを求め、
手直しが終わるまでは、代金の支払いを拒むことが
できます。
❍事例⇒トリマーが誤って、猫のしっぽの1部を
5cm切断してしまった事案
🟡この場合、トリマーは、飼い主の所有権を棄損した
となるため、損害を賠償する責任を負うと判断され、
治療費・動物病院通院のための交通費・慰謝料として
合計約15万円の損害賠償が認められました。
🔵トリミングサロンで、トリマーがシャンプー中に
火傷に気づいた為、依頼されていたトリミングを行わなかった
ということであれば…
依頼者は、仕事が未完成であるため、代金の支払いは
拒むことができます。
🟡トリミングサロンで、トリマーのドライヤーの
当て方が悪くて、犬猫が火傷をした場合…
依頼者は、トリマーに対し、債務不履行として、
犬猫の治療費についての損害賠償を請求することができます。
🟡トリミングサロン後、すぐに皮膚の
ただれが見られた等…火傷の原因が、明確で
ある場合、原因は、トリミング中のドライヤーの熱で
ある可能性は高いです。獣医師が火傷の原因を特定できる
のであれば、診断書を書いてもらうのが良いです。
診断書は、トリミングサロンに過失があったことを
訴える際の重要な証拠となります。
業務を委託された人の職業や
専門家としての能力、社会的地位など
から考えて、通常期待される注意義務のこと。
🟡トリミングサロンへ犬猫のトリミングを
頼むことは、民法上の請負契約となります。
例えば…トリミングサロンへ犬猫をつれていき
ドライヤーなどの熱による火傷があった場合
犬猫に傷がついているのであれば、善管注意義務違反
として、債務不催行責任を追及することになります。
民法第709条
故意又は過失によって、他人の権利
又は法律上保護される利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
とあります。
❍損害賠償が認められるためには、
故意又は過失が必要で、請求する側が
証明しなければなりません。
🟡判例⇒ペットホテルに預けたチワワが
散歩㊥に行方不明になった件について
慰謝料としての賠償請求が認められた
ケースがあります。
チワワは怖がりなので、他の犬と
一緒にしないでほしいというメモを
従業員に渡していたのにそれに従わず
飼い主が旅行中に、確認の電話を入れた時にも
逃げたことを伝えないなど、誠実さが感じられない
対応でした。
飼い主側は、慰謝料100万円やチワワの購入代金や
弁護士費用などを合わせて150万円の損害賠償請求を
起こしました。
⬇
これに対して、裁判所は、ペットホテルの過失を
認める一方、ペットホテル側も飼い主からの要望に
応じて、チラシ配りやビラ配り、新聞へ毎日、広告を
だすなど、捜索活動を尽くしたことなどを総合的に考慮し
精神的苦痛への賠償額は、弁護士費用と合わせて
60万円であると判断しました。
🔵ペットホテルだけでなく、ペットシッターに
家に来てもらって、世話をする際も玄関をあけた
とたんにペットが逃げ出すということもあります。
※契約書を交わす時は、逃してしまった時のことが
明記されているか、しっかり確認しておきましょう。
ペットホテルからペットが脱走した場合
法律上、ペット探偵費用をペットホテル側に
請求できます。
しかし…ペットが見つからない場合…
民法では、預けたものが損傷したり、
1部が滅失した場合、返還から1年以内に
損害賠償請求をすることと定めています。
何ヶ月も見つからない場合
数ヶ月におよぶ高額な探偵費用を
全額請求できるとは考えにくく…
精神的苦痛やペット自身の財産的損害を
賠償してほしいという訴えとなります。
例として…ペットホテルへ
飼い主がペットを預けた場合…
❍受託者…ペットホテル
❍寄託者…飼い主
にあたります。
🟡民法第657条
受託者が、寄託者のために保管することを
約束し、寄託者からその物を受け取ることに
よって成立する契約です。
ペットをペットホテルへ預けた場合、
飼い主とペットホテルの間には、寄託契約が
成立しています✾
※寄託契約とは⇒飼い主に返す時、
ペットホテル業者は、猫をもとの姿で
返さなければならないという契約です。
脱走した場合であれば、
ペットホテル側は、ペットを探す
という責任を負います。
🔵血統書つきとしてペットを販売しながら
実は血統書がなかった場合…刑法第246条の
詐欺罪になる可能性があります。
ペット購入時に、必ず確認し、
どの団体が発行しているものなのかも含め
団体へ確認することをお勧めします。